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三重県 熊野古道センター 基本設計 公募型プロポーザル

山中の古道を歩くこと。
それは尾根・谷・傾斜地・丘陵といった多様な場所からなるシークエンスを体験することと捉えられる。そして、それは何百年という長い時間をかけて形成されてきた古道を歩いてきた人々の記憶と自らの記憶を重ね合わせるという行為に他ならない。そこでは、様々な過去の時代と現在、さらに未来が出会うことになる。
本計画では、周囲に広がる古道を、未来に向かって提示し、人々の深い理解・経験を可能とする場所として、熊野古道センターを含む地域一帯のランドスケープの提案を行う。それは、多くの人々の参加によって、可能となる計画である。
1. 計画敷地を可能な限り、自然な起伏を残し、整備する。そこには、海に近い低地としての谷⇔傾斜地⇔なだらかな丘陵地といった一連の変化に富んだ大地が存在している。ここでの土地整備は、敷地本来の場所性を復活させる修景である。
2. そして、敷地全体に複数の道を配置する。道は、直線的な配置とし、多様な導線計画が可能となるよう計画している。太陽(南北・東西)に導かれる道、周辺環境(海・山林・谷)に導かれる道、聖地(熊野本営大社・伊勢神宮・高野山)に導かれる道が召集される。そして、それらの複数の道により、大地が細分化され、多様な場所がうみだされる。道は地場産の石・木・土・草により形成されている。
3. 丘陵地に車の為の道=リングを設ける。リングの一部にはバス・乗用車の為の駐車スペースを配置する。丘陵地全体に広がり、管理用の周回機能も併せ持つ。
4. 必要とされるセンター機能別に建物を構成し、分散配置とする。各機能は外部広場に呼応する形態とする。そして、センター建物の中心部に人工的に組上げられた高木、物見塔としてやぐらを設け、敷地外からのサインとして機能する。道は建物内部に貫入し各諸室を隔てる内部通路となる。これらの建物は木を構造材・内外壁材として用い、周辺環境に溶け込むよう計画する。
道は、人をある場所から別な場所へとつなぐ。同時に、その経路や道同士の交差により場がうみ出される。ここでは、個別な性格をもった道・場所の集合体としてセンター施設全体の配置が計画されている。このように敷地全体に展開する諸要素がゆるやかに関係し合い、多様な活動を可能とする計画とすることを意図している。周囲の生態系のサンプルとして区画を作り出すこと、そして、そのサンプルが道の存在により長年をかけ変化していく様態を見ることができるであろう。 そこは、幾重にも折り重なった人々の経験・記憶が、歴史―古道へと接続する場所となる。


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